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午後23時、アメリカ南部にて
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する筆者が当地にて感じた様々な事柄をお伝えします。
10 | 2018/11 | 12
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Wet Back / ボストンテロとテキサスの移民
ボストンテロの容疑者ツァルナエフ兄弟の逮捕後、一部でオバマ大統領が進める移民改革に反対する声が上がっている。特に今週はマスコミにより、ロシアのダゲスタン共和国に住む容疑者の両親の映像が連日報道され、彼らが未だ紛争の記憶も新しいチェチェンに近い小国の出身、そして、イスラム教徒であることから、遠い国からやってきた異質な存在が、アメリカ社会の平穏を脅かすといったイメージが広がっている。

しかし、統計上もアメリカにおけるイスラム教徒人口は0.8%に過ぎず、5%を超えるイスラム教徒人口を抱えるドイツやフランス等のヨーロッパ諸国と比べると、社会にとってのインパクトも小さい。それでは、大統領にとっての優先課題になるほどの大量の移民はどこから来ているのだろうか?特に、アメリカ南部にとっての移民はどこから来ているのだろうか?そう、それは遥か彼方、中央アジアのコーカサスからではなく、南であり、「川の向こう」である。今週はそれにまつわる話をしてみたい。

今週、仕事でテキサス南部のコーパス・クリスティーに出張する必要があり、出張の準備を終えてオフィスを出ようとすると、いつもは厳しいアルゼンチン人の上司が神妙な面持ちでこう話しかけてきた。「モリ、南にいくなら、絶対にパスポートを持っていけ。国境に近づけば警戒も厳しい。」まさかテキサス内を出張するのにパスポートが必要だとは思っていなかったのだが、せっかくの忠告なのでありがたく受け取り、翌日僕はパスポートを持って、夜明け前のヒューストンを出発した。

テキサス州にとって、メキシコとの国境は、東西にどこまでも流れて最後はメキシコ湾に流れ込むリオ・グランデ川であり、国境に近いエリアはメキシコからの非合法移民を取り締まるため、多くの国境警備員が巡回している。ヒューストンから南のコーパス・クリスティーに行く場合、州道59号線をひたすら南に走ることになるのだが、この道はそのまま南、正確には南西に行けば、国境の町ラレドに至る。そして、国境を陸路で越えるだけの向こう見ずであるのなら、リオグランデ川を渡り、更にメキシコ領内をも直進すれば、8時間も経たずに、今世界一危険な町の一つと言われるメキシコのモンテレーに到着できる。

僕はと言えば、ヒューストン市内を出て州道59号線に入った途端、カーナビから、「この道を150マイル直進して下さい」という機械的な音声が流れすっかりうんざりしてしまったのだが、同時に、「この道をまっすぐ行けばいつかはリオグランデ川に出るのだろうか」との思いも抱いていた。そして、150マイル直進の退屈なドライブの最中、路肩には何台ものパトカーが待機していて、ついついスピードを出しそうになるのを思いとどまらされる。(後で聞いた話では、この道はより大きなInterstate Highwayと比べて、メキシコからの不法移民や密輸貨物の輸送に使用される頻度が多いそうだ。)それでも3時間程でテキサス州有数の港湾工業都市、コーパスクリスティーに着く。面談の相手から、「一人でコーパスクリスティーまでやってくるなんていい度胸だな!」と言われ、自分が随分南に来ていることを改めて実感したのだった。

テキサスと言っても、メキシコに近づくと主な町の名前は「コーパス・クリスティー(スペイン語でキリストの身体」という意味」と言うようにスペイン語の名前が多くなり、この土地が元から他者を内に含んでいる土地であることを実感させられる。そして、最近はあまり使われなくなったが、アメリカで非合法移民はしばしば「ウェットバック(背中を濡らした者)」と呼ばれ、その由来はといえば、メキシコからの非合法移民がリオグランデ川を徒歩で渡り、背中を水で濡らしてアメリカ領内に入ってくることから来ているのだ。

その意味ではテキサスは常に、望まれない移民に対するフロンティアであった。広大なアメリカにおいて、はるか東海岸のボストンで起きた望まれない移民による事件を契機に、移民に対する新たな主張がなされると言うのなら、テキサスを含めたアメリカ南部の経験が十分に考慮されることを望みたい。

写真は朝日に映えるコーパス・クリスティーのシンポル、空母レキシントン。第二次大戦自体から活躍し、ゼロ戦の特攻にもびくともしなかったというこの船は、今でもテキサスを外部から守っているかのようだ。
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アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する商社マンです。

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