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午後23時、アメリカ南部にて
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する筆者が当地にて感じた様々な事柄をお伝えします。
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コロラドの熊と熊の様な日本人
2回続けて南部以外の記事を書くと、もはやアメリカ南部のブログではない気もするけれど、今週も番外編的に、旅行で訪れたコロラド州について書いてみたい。

コロラドに向かう飛行機の中、僕はとある取引先の方から頂いたロッキー山脈の近郊で大成功した方の伝記を読んでいた。その伝記の主人公は、少年時代の1920年代、大恐慌のあおりを食って職を転々とせざるを得なかった父親の都合で、ワイオミングやモンタナ、ユタ、コロラドとロッキー山脈周辺の州を転々とするのだけど、その中で最も印象深かったのがコロラド時代の思い出だ。

コロラドで、彼は初めての労働の体験として、家畜の管理のアルバイトを始める。すると、ある日彼が働く農場にグリスリーベアがやってくる。恐怖におびえた彼は近くにあった猟銃を熊の頭部めがけて撃ちまくるのだけど、熊は一向に勢いを弱める気配はない。そこで、もはや死に物狂いでめちゃくちゃな方向に撃ち続けると、たまたまその一発が心臓に当たったらしく熊は絶命する。その後、熊の近くに寄って見てみてると、頭部に命中した銃弾は全て分厚い頭蓋骨に阻まれて貫通しておらず、その時初めて彼は、もともと頭部を狙うのが間違いだったことに気づき改めて肝を冷やしたという、そういう話。

思えば、僕にとってアメリカの自然のイメージといえば、熊が付き物だ。僕の大好きなショーン・ペンの映画、『イントゥザワイルド』でも、アラスカで自然に根ざした生活を始めた主人公のもとに熊が襲い掛かってくるシーンが忘れられない。もっとも、ふと考えてみると、それは自分の故郷での原体験とつながっているのかもしれない。地元の静岡市瀬名、その裏山に当たる竜爪山に何度か熊が出たことがあったのだけれど、そのたびに人里近くに現れた熊が、人間に対する自然の怒りの象徴の様な気がしたものだった。

そういうわけで、コロラドに到着した時には、何となく、熊に出会うかもしれないという一抹の不吉な予感がしていたのだけれど、実際には、そんな危険なこともなく、ボルダー渓谷でのロッククライミング、ラブランド峠でのハイキング、エバーグリーンでのゴルフと、コロラドを大いに満喫したのだった。

lovelanda.jpg

結局、熊への予感なんていうものは、未知の山域に対する自分の不安から来るものなんだろうとなかば納得しかけていた時、連日のコロラド風ハンバーガーに若干辟易していた僕は、一緒にいたアメリカ人の友人を説得して、コロラド州一の大都市であるデンバーの日本料理店に向かった。

ヒューストンでの日本料理店の経験の中で、やはりアメリカで成功するためには、日本料理店もある程度アメリカ人に合わせなければやっていけないものなのだという確信を持ち始めていた僕は、その店に近づいた瞬間衝撃を受けた。周囲の建物と若干ミスマッチな様子で、日本の東北地方の山奥を思わせる建物がどっしりと構えている。中に入ってみても、驚きは続き、立派な日本庭園の中に5月を示すこいのぼりが垂れ下がり、客用のテーブルの横には、東北の小民具のコレクションを揃えた日本記念館が設けられている。

domo.jpg

聞けば、このお店Domo Restaurant(http://domorestaurant.com/)のオーナー兼シェフであるGaku Homma氏は、日本の田舎風の料理店を経営する傍ら、合気道の道場である「日本館」を設立し、地元のアメリカ人の若者たちに合気道を教えているそうで、弟子の青年たちからは「ガクセンセイ」と呼ばれて慕われているそうだ。料理についても、「わんこ寿司」というのが、看板メニューであり、わんこそば用のおわんに多様な種類の散らし寿司が振舞われるのだけれど、これがまた内陸部であるコロラドを全く感じさせない絶品さで絶品だった。

コロラドで、ここまで日本的な場所に出会えるとは思えず、すっかり気分がよくなった僕は、たまたまガク先生が不在だったことを残念に思い、合気道道場の生徒でもあるウェイターの若者に、ガク先生はどんな人なんですかと聞いてみる。すると、彼は「優しくて、熊のような人です」と答えたのだった。そう、やはりコロラドに熊はいたのである。

そんなお店でも、やっぱり最後は最高においしいラーメンを食べたのだけど、そのラーメンと共に出される注意書きがまた、熊の様なガク先生の人柄を示す、粋なものだった。

「ラーメンを食べる時は、音を立てて麺をすすり、器を持ち上げてスープを飲み干すのは、決して失礼ではありません。むしろ、おいしいと思ったら、おおいにそうして下さい。それがシェフにとっての最高の喜びです。」
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【2015/04/08 05:25】 | # [ 編集]


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アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する商社マンです。

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