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午後23時、アメリカ南部にて
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する筆者が当地にて感じた様々な事柄をお伝えします。
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コラチェとアメリカ南部的生活
今回は、以前友人にブログに書くと約束しながら、記事にできていなかった出来事を書いてみようと思う。

以前、アメリカ人の友人とテキサスのハイウェイをドライブしていた時のことだ。例によってどこまでもまっすぐ続く道に車まで飽き飽きしたかの様にガソリンが尽きかけてきたので、最寄のガソリンスタンドを探す。アメリカのハイウェイには、少なくとも10数マイルおきにはガソリンスタンドがあり、大きなハイウェイでは、複数のガソリンスタンドと、それに併設して複数のハンバーガーショップやファミレスなどの飲食店がまとまって営業していることも多い。そこで僕は同乗する友人たちに聞く。「ガソリンスタンドと食べ物、いくつかあるけど、どこがいい?」すると、アメリカ人の友人たちは口を揃えてこう答えるのだ。「最もアメリカ的な組み合わせに決まってるじゃないか!エクソンモービルでガソリンを入れて、マクドナルドでハンバーガーを食べるのさ!」

思えば、アメリカ的な生活様式とは何だろう?今はもう死語になったのかもしれないが、中学の社会の教科書には、アメリカ社会、そして世界のその他の社会が、ファストフードに代表される均質化された大量消費社会に画一化されていく傾向を象徴する言葉として、社会のマクドナルド化(McDonaldization)」という言葉が記載されていた様に思う。それでは、アメリカ人は日本のマクドナルドが躍起になって定着させようとしている様に、朝は決まってマクドナルドの朝マックのセットを食べるのだろうか?事態はもう少し複雑である様に思う。

例えば、少なくともテキサスで最もポピュラーな朝のファストフードと言えば、Kolache(コラチェ)だ。ふっくらと焼き上げたパンの中に、ソーセージやハム、卵などを入れ、ハラペーニョ等で味をつけたシンプルな料理で、もともとはチェコやスロバキアからの移民が持ち込んだ東欧の家庭料理だが、アメリカ南部の各地で独自の発展を遂げ、ヒューストンでも各コラチェ専門店が自分たちのコラチェがヒューストン一だと主張し合っている。テキサスに駐在し始めた頃、尊敬する大先輩から、「午前中にお客さんに会いに行く時は、できるだけコラチェやドーナツを買っていった方がいいよ」とのアドバイスを頂き、できるだけそうしたおみやげを持っていく様にしているのだが、仲良くなったお客さんからは画一化の反対に、「xxxのコラチェが食べたい!」との注文を受けることがあり、それでもお客さんに喜んでほしくて、多少遠回りでも指定されたコラチェ屋に寄っていくのだ。

さて、エクソンモービルとマクドナルドがアメリカの象徴とうそぶいていた友人から、「最もアメリカ南部的な生活」を見にいこうと言われていたことがある。正確に言うと、「最もRedneck(レッドネック)的な生活」である。誤解なき様に補足しておくと、この「レッドネック」と言う言葉は、元々はアメリカ南部の農村部の白人貧困層を指す(農村での炎天下の肉体労働により首が赤く日焼けしていたことから)侮蔑的な意味を持った言葉だが、最近では、カントリー音楽の復権に代表される様に、アメリカ南部の田舎の素朴な生活様式や価値観を積極的に肯定しようという動きの中で、その言葉の意味付けが捉え直されており、その友人もそうした肯定的な意味で使っていることをご理解いただきたい。

その最もアメリカ南部的な生活をしているのは、友人の親戚であり、オースティンの南西の牧草地帯に住んでいるという。オースティン方面から車を走らせ、もう少しで最寄の最後の大きな町を抜けようという時に、彼らへのお土産を買うために、ファーストフード店で車を止める。そのファーストフード店では、やはりマクドナルドではなく、「この辺りで一番おいしいと噂の」コラチェ屋さんだった。

ハラペーニョが効いたコラチェに小腹を満たしながらその住所に着くと、そこには牧草地に囲まれた小さな森があり、まるで森の中に眠るクメールの遺跡アンコールワットの様に、周りの植物と絡み合う様にして、一台の大きなキャンピングカーが立っていた。聞けば、今はこのキャンピングカーの中で生活しながら、横の土地に、ゆっくりと新しい家を作っている最中だそうだ。家が建つまでとはいえ、キャンピングカーで何ヶ月も暮らすのは日本人には驚きだが、実家から持ってきたというバーベキュー用のグリルを3つも設置し、自然の中で毎日おいしい肉を焼くのはすこぶる快適だという。まさに、素晴らしきレッドネック的生活というわけだ。

Redneck1.jpg

かつては、スターバックスやマクドナルドがアメリカどころか全世界を画一化すると言われたアメリカだが、次第にラティーノやアジア系の人口が増え、いずれは白人がマイノリティーに転落するとの予測もある中で、均質化していたと言われていた白人社会の側からも、例えば「レッドネック的」価値観の捉え直しという様に、白人社会の中での地域的、社会集団的な差異を意識したアイデンティティーの再定義が生まれ始めている様に思う。そしてそうした動きは、現代アメリカ社会の多様な構成員を巻き込んでの「何がアメリカ的なのか」の論争に、多様な地平を盛り込んでいくことだろう。

少なくとも、今遠いアフリカの地で、アメリカ的価値を代表して頑張る友人には、「マクドナルドとスターバックス」よりは「コラチェとキャンピングカー」が似合うのは間違いない!


写真は、キャンピングカーの隣で、自分自身がテキサス的価値の象徴と言わんばかりの存在感を誇示していたビッグホーン。

Big Horn


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この記事に対するコメント

やはり隊長の文章は面白いですねー紀行文だ。
さて、私のヒューストン行きはいつの間にか消えてしまいました・・・・残念。。。コラチェ、食べてみたかったー。
【2013/07/03 15:43】 URL | ANGIE #- [ 編集]


アンジーさん、コメントありがとうございます!
何と!ヒューストンで一番おいしいと言われるコラチェを買い置きしてお待ちしていたのですが…残念です。いつか当地でお会いできる日を楽しみにしています。
【2013/07/03 21:35】 URL | タツヒコ #- [ 編集]


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アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する商社マンです。

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