FC2ブログ
午後23時、アメリカ南部にて
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する筆者が当地にて感じた様々な事柄をお伝えします。
10 | 2018/11 | 12
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ヒューストン観光ガイド② オレンジ・ショー
文化とは、アートとは、誰のものなのだろう?

時と場所を問わず、その問いに答えることは容易ではなく、それは現代のここヒューストンでも同様だ。全米に誇れる一大美術・博物館群、ミュージアム・ディストリクトを抱え、オークションに出展されれば、相当の高値で取引されるであろう美術品を多数抱えるこの街。でも、おそらく文化とはそうした高尚な芸術だけではない。ここが仮に「文化都市ヒューストン」であるならば、その広がりはより大きな地平に広がっているはずだ。そう確認させる場所がこの街の東の外れにある。

イースト・エンド、ダウンタウンから45号線を南東に進んだところにあるこのエリアは、一般に比較的治安が悪いと言われ、特に用事がなければなかなか近づくこともないと思う。ただここには、同じ名前を関するロンドンの東の外れの一角と同じく、アーティスト、特に、日々の生活を必死に生きる一般の人々をターゲットにした作品を制作するアーティストが多く住むエリアでもある。

ヒューストンの郵便局員であったジェフ・D・マックキサックもそんなアーティストの一人だった。1956年、彼は近所で拾ってきた廃材や古びたおもちゃ、その他一切のガラクタを自らの土地に運び出し、それをカラフルに染色した上で一つのモニュメントを作り始める。数十年が建ち、モニュメントが一つの巨大な城になった時、彼は自分の大好物で、それを多く摂取すれば世界の人々がより健康になると信じて止まない食べ物、「オレンジ」にちなんで、自らの城を「オレンジ・ショー」と名づけた。彼は自らが作り上げたモニュメントに、ヒューストン中、いや、アメリカ中の人々が訪れると信じたまま、この世を去ったのだった。

彼の死後、もともとガラクタで作られたモニュメントは、急速に朽ちかけようとしていたが、この孤独な老人の夢に、視覚芸術としての価値の高さを感じ取ったヒューストンのアートのパトロン達は、Orange Show Center for Visionary Artという組織を作り、修繕を施した上で1982年にこのモニュメントを一般に公開した。遊園地のアトラクションの様な入り口から一歩中に入れば、内部は色とりどりの取っ手や柵に導かれて、迷路の様にあらゆる方向に広がり、一見価値のないものでも、イマジネーション一つで素晴らしいアートに変えることができるのだという事実を気づかせてくれる。

そう、ここはヒューストンにおける「庶民による庶民のためのアート」の一つの中心なのだ。


Orange show

そして、オレンジ・ショーはその後、ヒューストンの人々にとって、最も身近なものを題材にしたアートの運営も担うようになった。毎年5月に開催され、思い思いのデコレーションを溢れんばかりに施されたアート・カー達が通りを練り歩く、ヒューストン・アート・カー・パレードだ。この週末、オレンジ・ショーのモニュメントを会場にして、アート・カー文化をテーマとしたドキュメンタリー映画の上映会が開かれた。

映画には、ヒューストンの人々、テキサスの人々に取って最も身近な存在、どこへ行くのも一緒の相棒である「車」を誰よりも愛し、だからこそそれを思い思いのアートに変えずにはいられない個性的なアーティスト達が多数登場し、自らもアート・カーの製作者であるとともに高校教師であるレベッカ・バスの活動を軸に画面が進んでいく。彼女は、ヒューストンの低所得者層として暮らす生徒たちに5月のパレードに向けてアート・カーを製作するという課題を与え、その課題を通して、アーティスティックであること、また、アート制作を通じて自分に向き合い、更には自らの殻を破ることの素晴らしさを教えようとする。映画の上映後にはレベッカ本人が登場し、「新しいアート・カーは作らないのか」という観客からの質問に対して、まるで自らの存在を否定されたことを怒っているかの様にこう答えたのだ。

「わたしがアート・カーを作り続けることを止められると思うの?」

おそらくその場にいたアジア人は僕らだけだったけれど、今夜改めてヒューストンの、そしてアメリカの文化の奥深さを知った気がした。

art car movie

****************************************************

一見したところ、外国人が入りにくい雰囲気がありますが、実際にはスタッフもみんなフレンドリーで、ヒューストンのアートの裾野の広さを知る意味でも、絶対に一見の価値ありです!定期的に映画の上映会等のイベントを実施しているので、事前にイベントの日程を確認して行くとより楽しめると思います。

ザ・オレンジ・ショー

http://orangeshow.org/
住所: 2402 Munger St, Houston, TX 77023 アメリカ合衆国
電話:+1 713-926-6368



スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://ryusozan.blog64.fc2.com/tb.php/25-393f62eb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

タツヒコ

Author:タツヒコ
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する商社マンです。

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。