その面白さの理由はおそらく、自身の体験もベースにして、英語スピーカーにとっての音声としての日本語の面白さに焦点を当てているからだと思う。例えば、日本語には57種類の感謝(gratitude)を表す表現があると切り出す。そして、「ありがとう」「どうもありがとう」「どうもありがとうございます」と音声表現を例示していき、どうも日本語というのは音声が長ければ長いほど、感謝の意味合いが強いらしいと展開していく。そして、最上級の感謝の表現は、とても長い「音」として表現され、日本語の意味がわからない観客も、その長く大層な響きからとても深い感謝が表現されているんだろうと期待する。しかし、オチを聞いてみればその表現とは、「あなたの御厚意に対しては感謝の言葉もございません」であり、英語にしてみれば、何のことはない、"I have no word to show my gratitude"というわけだ。日本語の複雑な音声と、英訳された時の的外れな意味のギャップを絶妙に捉えてはいないだろうか。