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午後23時、アメリカ南部にて
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する筆者が当地にて感じた様々な事柄をお伝えします。
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ヒューストン観光ガイド③ Wiess Energy Hall & Ocean Star Offshore Drilling Rig & Museum
博物館(ミュージアム)には、その文字が示す通り、本来あらゆるものが展示されうる。英語のミュージアムの語源となったギリシア語のムーセイオンという言葉にしても、アレクサンドリア大王が作り上げたヘレニズム帝国の中で、世界各地からのあらゆる知や文物を集めた、エジプト・アレクサンドリアの総合学術機関を意味していた。それでも、その時代、その場所で、他とは異なったものが展示されるとしたら、そこにはそこに生きる人々の何らかの思いが投影されていると考えるべきだろう。その点、産業構造が多様化したとはいえ、もとより石油の街であり続けたヒューストンには、石油に関する博物館がいくつか存在している。

一つは、Houston Museum of Natural Scienceの一角にあるWiess Energy Hall。Natural Sience Museumといえば、何といってもアメリカ最大と言われる恐竜に関する展示が有名だが、ヒューストンに、テキサスに密着した展示という意味では、石油及び石油開発に関する展示物を集めた、このWiess Energy Hallも負けてはいない。ホールに入るとすぐ、世界各地で採れる石油の比重の違いを装置を回すことで実感できる展示に迎えられ、それ以外にも、石油、石油探査、そして石油掘削を自らの目で耳で、更には手を動かすことで理解できる様に工夫がこらされた展示が集まっている。

極め付きはホールの中ほどにあるGeovatorというアトラクション。遊園地のアトラクションさながらのこの装置は7分程度の間隔で訪れるものを地下7000フィートもの深さの石油の井戸の中に迎え入れる。全方位に張り巡らされたスクリーンとリアルな音響と振動に浸っていると、あたかも実際に井戸の底にいる様に感じられ、そこにお調子者の船長の「このままだと石油が生産できないから、フラッキング(水圧破砕)してみようか?」といったセリフによって、あくまで気楽に最新の石油掘削の実際が学べるようになっている。石油掘削に関してここまで本格的なアトラクションを作れるのも石油の街ヒューストンならではだと思う。

oil 1

oil 2

もう一つがヒューストンの南東、メキシコ湾に面したガルベストンに位置するOcean Star Offshore Drilling Rig & Museum。一般の人が石油掘削、特に海上での石油掘削と言われて思い浮かべるのは、海の上に大きなやぐらがそそり立っている姿だと思うが、ここにはかつてメキシコ湾で実際に使われていた、石油の井戸を掘るベースとしてのそのやぐら(リグ)が、そのまま博物館となって保存されている。内部にはWeiss Energy Hallと同じく、石油自体や石油掘削技術に関する展示がある他に、二つの階を貫いて深海底が再現されたエリアがあり、セミサブマージブルリグ、ジャッキアップリグ等のリアルな模型が誇らしげに置かれ、こうした各種リグの技術開発がいかに深海での石油開発を可能にしたかが説明されている。

ここはかなりマニアックな施設なので、多少なりとも仕事上関わりのある人でなければ、隣に数件並ぶシーフードレストランでメキシコ湾から採れたばかりの魚に舌鼓を打った方がいいと思うかもしれない。ただ、そのシーフードレストランにしても、屋外のテーブルからメキシコ湾を眺める時に飛び交うカモメの間から見えるのは、近くには巨大なリグの修理工場、遠くにかすんで見えるのは実際に海の底から石油を生産し続けるリグである。それを見てここがテキサスだと改めて実感し、リグをそのまま博物館にしてしまおうというテキサスの人々の石油掘削に対する強い思いを感じるなら、一度は足を運ぶ価値があると考えてもらえると思う。

rig.jpg

ただ、個人的にはヒューストンが石油の街だと強く感じさせるもう一つの大きな展示がある。それはヒューストンの東の空に登る朝日、そしてヒューストンの西の空に沈む夕日である。ヒューストンにしばらく滞在した人は誰でも、朝日や夕日が日本と比べて随分大きいことに気づくと思う。特に夕方、高速道路を走っている時などに、さえぎるもののない高くて広いヒューストンの空に大きな夕日が見えた時には、すっかりその美しさに魅入ってしまう。だが、ヒューストンの太陽が他の場所と比べて大きいのは、ヒューストンの東部にあるアメリカ最大の石油化学プラント群から大気中に放出される微粒子が太陽からの光を屈折させ、太陽を実際よりも大きく見せているかららしい。

そう、ヒューストンの太陽の怪しい美しさは、石油という資源に人生を賭けてきた人々の情熱と罪深さを表現しているのだ。その時代、その場所に生きる人々の何事かに対する思いの強さが、それを博物館に展示させさらには文化として固着させていくなら、この太陽こそ展示されるべきものかもしれない。


Weiss Energy Hall (Houston Museum of Natural Science(ヒューストン自然科学博物館)内部)
www.hmns.org/‎
5555 Hermann Park Dr Houston, TX 77030 アメリカ合衆国
+1 713-639-4629


The Ocean Star Offshore Drilling Rig and Museum
www.oceanstaroec.com/‎
2002 Wharf Rd Galveston, TX 77550 アメリカ合衆国
+1 409-766-7827
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アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する商社マンです。

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