FC2ブログ
午後23時、アメリカ南部にて
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する筆者が当地にて感じた様々な事柄をお伝えします。
10 | 2018/11 | 12
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

続・ローマ法王の退位とラティーノ
今週は、ほとんど自己満足で書いているこのブログが、アメリカ南部とその南に大きく広がるラテンアメリカ世界の今を、多少なりとも先取りできていたことが素直にうれしかったので、2週間前の記事の続きを書いてみる。(ラテンアメリカ世界から、初めてのローマ法王が誕生するかもと書いた記事のことです。)

13日、オフィスで隣に座っているいつも明るいアメリカ人の同僚が、「ついに白い煙が上がったぞ!」と叫んだ。日本で白い煙と言っても火事か何かと思うだけだが、この時誰もが気にしていたのは、バチカンのシスティナ礼拝堂から白い煙が上がること(=新しい法王が決まったことを意味する)だった。誰もが仕事を中断して、ネットのニュースをチェックする。そして、その後各通信社が一斉に発信した続報は驚くべきものだった。何よりも僕が驚いたのは、僕の前に座っているいつも厳しいアルゼンチン人の上司が、見たこともないような満面の笑みを浮かべていたことだったのだが。

そう、新しいローマ法王には、アルゼンチン人のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(76)が選ばれた。直前のニュースでも、次の法王は非ヨーロッパ世界から生まれるとの見方が強まっていたとはいえ、候補と見られていたのは、ブラジルとガーナの枢機卿であり、この決定はかなりの驚きをもって迎えられた。

ここ数日の各種報道を総合すると、今回のアルゼンチン人の法王選出には、苦悩を強めるカトリック教会の思惑もあるようだ。カトリック教会としては、ただでさえ現代社会における宗教の相対的影響力の低下がある中で、最近はアメリカでも相次ぐ枢機卿等による少年への性的虐待等、イメージを悪化させる各種のスキャンダルに苦しんでいる。その点、現在の世界で、カトリック信者の4割はラテンアメリカ世界におり、アメリカのラティーノも含めると、おそらく信者の半数近くに及ぶと思われる。そして、ラテンアメリカ世界の熱心なカトリック信者には、経済的に貧しい人たちが多い。つまり、カトリック教会の影響力回復には、ラテンアメリカ世界の貧困層へのアピールが、有効な戦略というわけだ。

そうした状況を踏まえて、新たなローマ法王となった、フランスシスコ1世は16日の最初の謁見でも、「貧しき人々のための清貧なる教会(スペイン語では、Una Iglesia pobre y para los pobres)」という方針を打ち出している。そもそもフランシスコという名前も、12世紀末の中世イタリアで、初期の宗教改革の一つとして知られ、所有の否定を唱え、厳格な清貧生活を送った聖フランシスコ(アッシジのフランシスコとも呼ばれ、江戸時代初期の日本にも宣教に訪れたフランシスコ会の創始者)から来ているものだ。アルゼンチン人の上司によると、ベルゴリオ枢機卿は本国アルゼンチンでも、長年にわたる貧困者への支援と、自身の貧しい生活ぶりで有名だったという。

その意味では、ラテンアメリカ世界の中でも、彼の故郷であるアルゼンチン自体も、抜本的な貧困層対策が求められている国だ。長く続く経済的低迷とそれに伴う貧困層の増加により、アルゼンチンのフェルナンデス政権は社会主義的色彩を強めており、昨年の石油会社YPFの一方的な国有化(それまでスペインの石油会社レプソルが過半の株式を保有していたもの)は世界に衝撃を与えた。最近アルゼンチンが権利主張を強めているフォークランド諸島(アルゼンチン側の呼称はマルビナス諸島)についても、新法王の誕生に先立つ12日の住民投票で、反対票3票という圧倒的多数の賛成で、イギリスへの帰属への賛成が示され、更にアルゼンチンの国際的立場を難しいものにしている。

今週の後半は、ラテンアメリカはもちろん、マイアミやヒューストン等、ラティーノが多いアメリカ南部の都市でも、ラテンアメリカからの新法王の誕生を喜ぶ人々の姿がそこかしこで見られた。現代の聖フランシスコとも言うべき、フランシスコ一世が、ラテンアメリカ世界、そして、アメリカのラティーノに何をもたらすのか、今後も見つめていきたい。

スポンサーサイト

この記事に対するコメント

もりもり、何か書くお仕事したら?
【2013/03/18 09:42】 URL | まゆ #- [ 編集]


まゆちゃん、うれしいコメントをありがとう!ただ、自分の中では学生時代はもっとまともな文章を書けたと思っていて、今はリハビリだと思って書き続けています。
【2013/03/18 10:04】 URL | タツヒコ #- [ 編集]


Thanks for sharing the knowledge here. I've learnt a lot.
I remember when I was a little girl, I've read one of the best novels which is THE RED AND THE BLACK. It's written by a french author Stendhal. It's a wonderful book describing the dark side of the catholic religion. Maybe I want to visit the catholic church on some Sunday morning to see how it goes there.
fun to read this.

ありがとう。
英語使いすぎると発表できないって返事された。日本語を使わないといけないって。

【2013/03/18 12:52】 URL | mina #- [ 編集]


Mina, Thank you for your comments. The Red and the Black was my favorite,too. When I read it for the first time during my high school days, I felt it was a love story of Julian but later I realized it was a strong social criticism. ありがとう!
【2013/03/19 13:42】 URL | タツヒコ #- [ 編集]


JALでいうスカイワードに載ってそうな興味深い内容だわ♪隊長は編集者も向いてそうだね~。
【2013/03/22 10:02】 URL | ANGIE #- [ 編集]


アンジーさん、毎度コメントありがとうございます!
編集者に向いているとか言われると、自分に自信がつきます。
スカイワードの様に、海の向こうの出来事を興味を持てるような形でお伝えできればと思います。
【2013/03/23 12:42】 URL | タツヒコ #- [ 編集]


ヒューストンで文才が益々磨かれてるご様子、励んでるねー!

日本だとどうしても他国の宗教問題は薄い認識になってしまうけど、同地では並々ならぬ熱を帯びたうねりを醸し出しているみたいだね。神道信者としては、カトリックやプロテスタントのキリスト教やイスラム教の一神教と違って神道は日本人の自然に対する畏敬の念から生まれた神観念だから、どうしても宗教指導者の選出等は違和感があるのが個人的感想。欧米では開祖を神とするけど、日本人は自然そのものに神を見出して崇拝する文化を築いていった。自然=神だから教典も存在しない、だからこそ派閥も生まれないから宗教問題とはほぼ無縁の民族となったのではなかろうか。

そうやって日本人が培ってきた「大和精神」は「自然の木や水のように自己を最大限に主張しつつも他を受け入れることにより完璧に調和する」ことを目指したものだと信じてるし、これこそ世界に冠たる日本人の財産だろうね(決して事勿れ主義のような矮小な思想ではないと信じたい!)。
【2013/03/24 12:15】 URL | あらや #- [ 編集]


あらやくん 丁寧なコメントありがとう!
そうだね、日本の神道は自然に八百万の神を見出すという意味では、世界的に見ても珍しいよね。神道にも通ずる「和」の精神から日本社会が、一神教の諸民族をも受け入れられる多元的な社会意識を生み出せればと思います。(ただ、日本の宗教問題といえば、仏教会の宗派間の争いや、天皇の霊性問題など、歴史上少なからずあった気が。またの機会に議論しよう!)
【2013/03/25 12:18】 URL | タツヒコ #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://ryusozan.blog64.fc2.com/tb.php/6-6b6b562e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

タツヒコ

Author:タツヒコ
アメリカのテキサス州ヒューストンに駐在する商社マンです。

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。